病気の症状

私たちが手足などを動かそうとする指令は大脳から発せられて、長い運動線維を辿って手足の末梢神経に至ります。逆に手足などの末梢神経で認識された温冷、痛み、バランスなどの感覚は運動とは別の感覚線維を辿って大脳に至ります。

CMTは末梢神経の障害により、一部の例外を除いて手足の先端から筋力の低下、筋肉の萎縮、感覚の鈍さの他、何も触れていないのにチクチクしたり、 ビリビリ感じたりする異常感覚が生じます。典型的な特徴としては足部・下腿(“すね”と”ふくらはぎ”)の筋力の低下と筋肉の萎縮で、足部(足首より先) の変形で、「逆シャンペンボトル」「槌指」と表現されます。手や腕にも筋力低下と筋萎縮が見られます。それらの結果、歩行が不安定になったり、箸使いなど の細かな手の作業がやりにくくなったりします。太ももや二の腕から、腹筋背筋にも少しずつ、ゆっくりと筋力の低下が見られていきます。他の病気と同様に、 床に伏せる時間が長くなると手足の筋力が落ちていってしまいます。

比較的稀なタイプでは、暗い所で見えにくくなる夜盲症のような視覚の異常や、難聴などを認めることがあります。また自律神経の線維も末梢神経の中に 存在するので、あまり目立った症状ではありませんが、手足の冷え、下痢などの症状を訴えられる方も見受けます。それらに対し、大脳などの中枢神経による、 物忘れや言葉の障害などはほとんど現れません。

<監修:京都府立医科大学脳神経内科能登祐一>