末梢神経の病気が疑われる患者さんで、まず行なわれます。異常のない人が受けても少し痛い検査です。末梢神経の障害の進んだ患者さんでは検査時間が長くかかり、より痛い検査になることがあります。
検査は、腕では通常正中神経か尺骨神経でそれぞれ運動神経線維と感覚神経線維を調べ、足では後脛骨神経で運動神経線維、腓腹神経で感覚神経線維、腓骨神経で運動と感覚神経線維を調べます。ぞれぞれの神経線維に沿って2箇所以上で電気の刺激をして、画面上で波形(活動電位)が現れるのを確認します。その間隔での時差から、伝わる速度(伝導速度)を調べます。
末梢神経障害は、脱髄型と軸索型で区別されることが多く、脱髄タイプは伝導速度が遅くなります。軸索型は活動電位の波形が低くなります。CMTの分類で以前から用いられているものは、正中神経の伝導速度が38メートル/秒より遅い場合を脱髄型(CMT1)とし、それより速い場合を軸索型(CMT2)としています。
運動神経線維の検査のときの波形の高さや幅は、電気刺激をする位置がかわると波形が平坦になったり、幅が広くなったりすることがあります。その波形の変化が極端に認める範囲では、伝導のブロックを来たしている可能性があります。伝導ブロックは、慢性炎症性脱髄性多発神経根炎(CIDP)などの他の病気には認めますが、普通CMTの患者さんにはありません。伝導ブロックを認めた場合にはより慎重に診断していくことが必要になります。
そのような波形の変化を見て伝導ブロックを確認したり、波形の高さを調べて軸索タイプなのかを確認したりするには、波形が最大限高くなるまで刺激を強くしていかなければなりません。CMTではいずれのタイプも、その他の病気も神経の障害が進むと波形が出にくくなります。そのため、障害のない人よりも強い刺激を加えることになり、時間も長くかかります。我慢するのが辛いのですが、痛みに耐え切れず検査を中断すると正確な結果が得られないかもしれません。
また伝導速度が速い人と遅い人を比べて、速い人の方が軽症であるとは限りません。伝導速度は最もコンディションの良い神経線維での速さを見ていて、いわば最高点での評価になります。人によっては最高点が良くても、コンディションの良い神経線維の割合が少なければ、症状としては重くなることもあるのです。
針筋電図
神経伝導検査に比べると、CMTを疑う患者さんが受けることは少ない検査です。この検査を受けることによって、筋力の低下が神経の病気が原因なのか、筋炎や筋ジストロフィーなどの筋肉の病気なのかが見分けられます。また、筋肉や神経のダメージの範囲や程度を調べることができるので、症状によっては頸部や顔面を調べることもあります。
この検査では電気刺激は使いませんが、神経伝導速度と同じ部屋で同じ機械を使って行なわれます。症状の目立つ筋肉に針を刺して、調べます。針を刺したまま、筋肉に弱く力を入れたり、最大限の力を入れたりして、それぞれで筋肉から発する波形を確認します。同じ筋肉でも正常な線維とダメージを受けた線維があるので、複数の場所で針を刺したり、深く浅く刺したりします。そのため、こちらも痛い検査になります。