「CMT病診療マニュアル」のご紹介

CMTの遺伝子診断の情報や治療法の開発状況、リハビリテーションなどに
関する情報が医療関係者、CMT患者さんに広く知られているとは言い難く
単純に「CMTの治療法はない」と思われている医療関係者、CMT患者さん
が多いのではないかと思います。

CMTの治療は、薬物治療、理学療法・作業療法、手術療法などがあり
治療薬に関しても、アスコルビン酸、プロゲステロン、クルクミンなどの
研究が進められており着実に前進しています。

また、ロボット技術やBMI(Brain machine interface)といわれる新しい
分野の研究が世界的に発展しています。

したがって、CMTの治療、ケアに関する研究、療養環境、最新医療技術など
に関する情報を速やかに医療関係者、CMT患者さんに知らせるシステム
づくりが必要になっていると考えています。

このマニュアルは、CMTをご専門にされていない医師、リハビリテーション
関係者、そしてCMTの患者さんとそのご家族に読んでいただくことを念頭に
作成しております。

このCMTマニュアルが、CMT研究の発展とCMT患者さんの診療環境の
向上に少しでも寄与することを記念しております。

<「発刊に際して」より>

CMT友の会としても待望の「シャルコー・マリー・トゥース病診療マニュアル」
が発刊されました。このマニュアルは、厚生労働省の科学研究補助金助成を受けて
研究活動をしている「シャルコーマリートゥース病の診断・治療・ケアに関する
研究班」の活動の一環として作成されたものです。

執筆者は、研究班の代表である京都府立医科大学の中川正法教授、遺伝子診断
の窓口となっている鹿児島大学の高嶋博教授など、友の会交流会にも参加協力を
いただいている方々をはじめとする研究班の先生方に、友の会副代表の大竹弘哲・
山田隆司が加わっています。

発刊の目的は、上述した「発刊に際して」(研究班代表中川教授による文章)に
集約されています。「新しい情報を速やかに関係者に届けるシステムづくり」が
このマニュアルによって第一歩を踏み出したと言ってもいいでしょう。

CMTだけに特化した専門書、というだけでも画期的なことですが、このマニュアル
は医学書にありがちな病気の原因と診断法・治療法などの専門的な情報だけで
終わるものではなく、CMTとともに暮らしていく当事者にとって有効な情報
である日常的なリハビリテーションの取り入れ方、QOL(Quality of Life)
向上のための留意点など、当事者の視点に立った情報が満載されています。

もちろん、自分の病気を正しく知ることはその後の対応のためにも大事なこと
です。そのため、専門的なことが書かれている章においても、可能な限り平易な
文章表現に努めていただいています。

このマニュアルの中では、CMT友の会の活動についての紹介もさせていただき
ました。マニュアルを通じて医療関係者の方々から友の会の存在を知らせていた
だき、そして新たな仲間の輪が拡がれば、私たちの活動ネットワークはさらに
厚みを増していくことと思います。

◇シャルコー・マリー・トゥース病診療マニュアル◇

目次(カッコ内執筆者名)

第1章シャルコー・マリー・トゥース病とは(中川正法・滋賀健介)
第2章臨床症状と診断(滋賀健介)
第3章病理(服部直樹)
第4章遺伝疾患としての側面(高嶋博・早坂清・小野寺理)
第5章遺伝カウンセリング(早坂清)
第6章リハビリテーション
     (蜂須賀研二・高橋真紀・岩永勝・小田太士・舌間秀雄・牧野健一郎)
第7章薬物治療、投与に注意したほうがよい薬物、麻酔の際の注意(中川正法)
第8章痛み・しびれへの対応(山下敏彦)
第9章手術療法・術後後療法(渡邉耕太・山下敏彦)
第10章日常生活と工夫、社会資源の利用(大竹弘哲)
第11章CMT患者会とその活動について(山田隆司)
第12章シャルコー・マリー・トゥース病の専門医療機関・リンク集(滋賀健介)

編集  CMT診療マニュアル編集委員会
発行所 株式会社金芳堂
定価  4